最高の安逸は、慣れることだと思うのだが、
それを放逸せよと、迫るのが冬だ。
音階の魔術に翻弄され、
言葉の魔術に流動的かな、人は。
本物を探せと、あくび眼で命じるのは、冬か。
それは、ビリヤード場の白玉みたいな物だよね。
あるいは、
フットボールの数十ヤード。
飛行機は、
飛びながら砂漠を見る。
東京を砂漠といったのは誰。
サボテンもなく、ガンマンもいない、
だらしのない砂漠だ。
煙草の煙が滑り落ちていく砂漠だ。
最高の安逸は慣れることだと、
しかし、下界は白色雑音が多すぎて、
戸惑いばかりが冷気に縛られる。
空を想うな、
心を想うな。
冬の歩みの
あまりにものろさに、
あせるのも事実なんだ。