本棚の中のあなた

あなたは、私を破壊し、颯爽とそこに居るのだ。

八の字ひげと眉のしわと、

なれなれしくもなければ、考え深げでもなく、

そうして、

私を旅に駆り立て、夜に閉じ込め、

底無しの淵へ誘い込もうとしている。

そりゃ、

あなたほどの神経質や、物見高さを持ってはいない、わたしは。

朝に、夜に、凡庸を振り撒き、

たかだかの凡窟ではあるにせよ、

私は、

あなたの世界で息をしてみたいのだ。

あなたは、

そんな私を見透かすのか、

そこに居る。

薄っぺらいのや、分厚いのやらで。

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