風が止みましたなら
外へ出ましょうか。
オリオンの何億光年のさみしさが
僕を包むに違いありません。
―― なんの月なんか
たかだか三十八万キロ
この風は、過去から未来へと
吹くのでしょうか。
それとも、
未来から過去へと
吹くのでしょうか。
どちらにしろ、この冷たさ、
肉から骨へと染み透る。
―― 僕なんか
水晶みたく透明になって、
ただ、ただ、受け止めるしか
ありません。
この匂い、
何千億の人の吐息、滞った感情に
第六感の回路を付け加え、
風が止みましたなら
外へ出ましょうか。