「四十九日目の朝」
君にとって弔いは
たかだか,そのようなものでしかなかった
そうだろ,少年よ
この村の玄関口に立った時から
君には,今日の事が見えていたはずだ
見えていたそこに向かって,君は大蛇のように
突き進んだのだから
だから,寒々とした廊下を
鎌を持って君に従おう
老いて杖つくものと一緒に
遅々とした歩みではあるが
許してくれたまえ
私たちは,君とは違う
君のように早くは行けない
今朝,君は少年となった
私が遅いコーヒーを飲んでいる間に
確かに,パンは食べなかった
それは,時間がなかったからではない
食欲がなかったからなのだが
その間に
君は少年の体へと脱皮し
小さな容器にもぐりこむ
眠るために
眠るために
呪術の言葉は,老いた親の目をくりぬく
白い烏がその目をついばみに来るから
あえて曇りの日を選び
雨すらも降らせ
密やかに儀式の時をふれて歩こう
そのようにして
君は行く
そして
私は問う
しかし
叫ぶ子らは見る
だから
カウンターの女は慈愛の眼差しを持つのだ
湯をたけ
湯をたけと,君は言うが
いまだ,どうしていいものやら
正直なところ,わかっていない
こうして,言葉を費やすことで
逃避をむさぼる
今日もまた
夜が明ける
君は少年のままでいる
湯をたけと言う
寒々とした廊下を
さてどうしたものかと,
君に付き従う
鎌を持て余し気味にして
少年でありながら
事象の間に遊ぶ君よ
君にとって弔いとは
所詮,そのようなものであったろう
私は,なおも困り果てているのだが
いたし方あるまい
鍵を君が投げ
私は,それを取り落とした
その結果の朝である