冬の日は,若い恋も終わるらしい
do_pi_can   ド・ピーカン  どぴーかん  さて、これから  詩  小説  エッセイ  メールマガジン

大陸からせり出してきた感情非移入型大気の渦が

この細長い島の連なりを氷漬けにし,

それにのっかって度を過ごした北からの吹き降ろしの風が

人の耳たぶを引きちぎっていく夜,

凍結した音信不通の道路の上に

引きちぎられた想いの数々を

撒き散らすか,君。

どれだけの想いをアルコールで湿して,この日を待っていたのやら。

 

氷点下の中に,溶けていく感情もあるものだ

 

まったく,君のために用意された夜ではあるが

そのために,スリップして停止した電車の中で

軽佻浮薄な恋が生まれ,

この世を,ますます,怠惰で淫らに変えていく

 

そのような事を君の感情では,推し量れまい

 

君は,ひたすら,携帯に向かって

流言蜚語をとばしながら,コールタールのような涙をこぼしている

そのような感情の終わらせ方は止めるべきだと忠告しても良いのだが,

とりあえず,知らぬ顔をしておいてあげよう。

 

なに,この世がどれだけ軽佻浮薄になったところで,

それで破滅の時が早まるわけでもない。

それよりも,もう一軒,うまい焼酎の飲める店がある

そこでしたたかに呂律を逆立ちさせて

駒が進むのを待つとしようか

君も来るなら,拒みはしないが

自分の足でついておいでよ

 

突き刺すような感情で腕をつかまれるのは

結構つらいのだよ,感情移入型の男としては。