ビルの谷間の
冷たい滝の向こう側に
赤いセエタアの君がいた
赤は,
傷つけられた色だ
赤は,
傷つけられることを容認し
さらに,
地の底にいながら
遠い星の揺らぎを見る色だ
男がサンプルをテエブルに置き,
女が説明を始める
ロボットの無機質さでそれを記録する時
君の赤いセエタアが
そっと差し出される
手厳しい照明弾の中で
うずきながら
きらめき始める
それを
見ているだけの
浮浪者の
めしいたまなざし
人夫は,
赤を屠る
全ての赤を屠った後,
己の眼球を抉り出すのだ
自分の脆弱を見ないように
そのようにして,
プライドは保たれる
そのようなことに頓着無しに
君のセエタアは,
あくまで赤かった
ビルの谷間にいては,
見えてこないプライド
一人の
ジャンヌダルクのプライドが
その赤を
取り巻いていた
弱き者は
その周りに
集合離散し
連結し,断絶し,
静かなエネルギーを吸収する
そして,
革命が始まる
赤いセエタアの革命