カーテンコール

女房はしょっちゅうカーテンを気にして、わずかの隙間が開いても閉めてくれという。

たしかに、ここには向かいに県営住宅があって、こっちと比較すると幾分開放的な窓が並んでいる。

毎朝、現チャリで出勤する土木作業員風の兄ちゃんが何人かいて、酒浸りの生活者も1人いるようで、ちょいとお高くとまった風に見えるこちら側からすれば、あまりあちらに開放的にしていたくない気持ちはよく分かる。

だが、しかし、こちらだってカーテンの内側では同じような生活時間が流れている。

朝から子供を怒鳴りつけ、夕方には早く帰ってきたグータラ亭主をどやしつけ、

土曜日・日曜日には亭主に文句を言い、尻を蹴り上げて家事を手伝わせる。

メイドでも雇っていれば、ちょっとは違うんだろうけど、

僕にすれば、そうやって互いに気を使わない生活の方がうれしいし、

日曜日に、朝から自分の時間に耽っているのを定期的に邪魔された方が、

持ち時間を濃縮して使えて良いかもしれない。

グジグジと家庭周辺、学校周辺の噂話、小耳話を聞かされるのは嫌だけどね。

まぁでも、少しでもお高く止まりたいのが人の常で、

それをカーテンで遮るもよし、たまにヒラリといきなり開けて

カーテンコールもいいんじゃないか

誰も拍手しないし、誰も見てないだろうけどね

 

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