サンダルから生え出でた素足のアキレス腱は
強靭だ
突き出る骨と肉を包む皮の滑らかさ、
つややかさ、伸びやかさよ
君は、そこを不毛地帯にし、なお男の視線を引き付ける
薄布におおわれた臀部はクリクリと動き、
陰毛から、太陽のハイビスカスの匂いを撒き散らすか
その匂い、
背広族のネクタイを締め上げ、
遠い国のフローズンダイキリの刺激を脳裏に忍び込ませる
ヘミングウェイが好んだその飲料は
この国には少し冷たすぎるね
人ごみかき分けトイレに駆け込む哀れな亡者が増えてしまうね
クーラーも無く、テレビも無い、ましてやパソコンも無い、
ひなびた海岸の古ぼけた原色のカウンターバーでこそ
君と飲みたいね
たぶん、君
踊りながら僕を誘う
僕のネクタイを優しくほどき
カッターシャツを破り捨て
革靴には小さなサトウキビの芽を植えるだろう
君、その大きな瞳に
僕の魂を吸い込んで、日常の呪縛を解き放つ
僕、
君の体にまといつく布切れの全てを流し去る
そんな妄想にとりつかれ
フローズンダイキリ放り出し
海に向かって走り出す
その時、僕の体が砂浜に不様に倒れ伏したその時に
僕の妄想は立ち消えるか
とんでもない
スコールがその上を通り過ぎるだけ