「夜の咆哮」
月に霞かかりて
サンバを聴く
たまの風が心地よい
「夜」という物体の中
我一人,
踊り邪魔する者無し
月の霞に
手を差し伸べて
タップを踏む
霞,微かに揺らぐべし
夜という谷底に
呼吸し,
我,ここに居る事を
知る者無し
夜道の曲がり角を
曲がり,曲がりて
辿り着きたる林の中に
口を開けたる虚空
その自由
居着いたる魔性の名は
女
と,
いうらし
しばし酔い
しばし淫蕩に耽る
それもよし
明く,暗く
切れかけたネオンサインの明滅
女よ
足投げ出すか
その付け根の孤高に
我,這い登りつつ
落下する
夢を
見る
しかして,
月の霞に
覚醒す
千金の酒
公園のベンチ
楽しき夢の跡
迷い犬の如し
小雨の
降りしきるらし
思い,
虚空を
うろつくらし
魂
彷徨いて
手足,ジタバタするらし
夢かと思いし女が
そこに
いるらし
なれど,
酔い覚めやれば
後は
寝るだけ