「エゴグラム」と「職場環境改善調査(MIRROR)」
(1)エゴグラム
(2)職場環境改善調査
”「職業性ストレス簡易調査票」を組織分析まで一通りやってみたが、今一つ何をどのようにしたら組織の抱える問題が改善され、もっと成果の出る組織に変化していくのか判然としない”
このようなケースは多いと思います。
なかには、
”「職業性ストレス簡易調査票」のように、たかだか57問の質問で、しかも人を病気にするような質問が並んでいるチェックツールでは、組織の事をしっかりと分析できるわけないですよ”と、言い切ってしまう方もおられるようです。
もしそのように言い切ってしまう方がおられたら、その方は、例え200問や300問の詳細な、よくできたチェックツールの結果を目の前にしても、いや、そのようなチェックツールの結果を目の前にしたら、なおさら、何をどうして良いのかわからないでしょう。
「職業性ストレス調査票」のようなチェックツールの分析すらできない方に、その他のチェックツールの結果を分析していただいても、よい分析報告ができるとは思えません。
とは言え、たしかに、「職業性ストレス調査票」の結果は読みにくく、場合によっては、個人分析はまだしも、組織分析となると表面的な結果しか得られない事があるのも事実です。
もし、「職業性ストレス簡易調査票」の結果を、さらに分析し、今後どのような取り組みをすれば良いのかを知りたいと考えておられるのでしたら、「職業性ストレス簡易調査票」以外のチェックツールを組み合わせて、そこから改善点を見出すことをおすすめします。
そのツールとして比較的使い勝手が良いのが、「エゴグラム(交流分析)」と「職場環境改善調査(MIRROR)」です。
エゴグラム(交流分析)
「エゴグラム(交流分析)」は、エリック・バーンと、その弟子のデュセイが考案した性格診断法で、自己啓発などの多くの書物に取り上げられているので、ご存知の方が多いでしょう。
”使いやすい””わかりやすい”が売りで、性格診断どころか占いのように使われてしまっているケースも散見されます。
性格診断にしても、まるで血液型のように何十パターン、何百パターンかに類型化し、そこに人を当てはめてしまおうという乱暴なのもあります。
しかし、「エゴグラム」の便利さは、人を類型に当てはめてしまうところにあるのではなく、対人パターン、コミュニケーションパターンとして、”自分はどのようなパターンに陥りやすいのか””組織の中で、どのようなコミュニケーションパターンが多く見られるのか”という傾向を知るためのツールとして使い勝手が良いところにあります。
例えば、下記のグラフをご覧ください。
ある企業で、実際に分析を行った結果のグラフです。
「仕事上の健康度」の高い群(青線)と低い群(赤線)に分けて「エゴグラム」の結果を合わせてみると、この企業では、健康度の高い群(青線)の方が、比較的安定したコミュニケーションパターンを描いている事が分かりました。
この結果は、当然と言えば、当然の事なのですが、視点を変えてみれば新しい事が見えてきます。例えば、「健康度の低い」グループの方々が、具体的にどのように日々のコミュニケーションパターンを変化させれば、健康度が高くなるのかが見えてきます。そして、漫然とコミュニケーション研修を受けていただくのではなく、より具体的なテーマを設定して研修などを実施できますし、その内容もその企業の実態にあった内容として計画可能です。
一例をあげれば、上記のように、自分の感覚で自分のコミュニケーションパターンを想定してもらった場合と、質問紙の結果でコミュニケーションパターンを想定した場合との比較を行い、自分自身のコミュニケーションパターンの傾向を自覚していただきつつ、アサーショントレーニングを行ったり、部下の育成指導のためのロールプレイングを行ったりする事が可能となります。
職場環境改善調査(MIRROR)
「職場環境改善意識調査」は、職場環境調整の立場から職場活動を具体的に推進するために産業医科大学にて開発された調査−改善活動です。
具体的には、健康(特に心の健康)に関係の深いと思われる45項目を、「既に実現している」「できれば改善が必要」「ぜひ改善が必要」「自分の職場とは関係が無い」のどれかに分類した後集計します。
(弊社での「職場環境改善意識調査」を使用した組織分析の実績経験値はこちら。)
集計により、それぞれの上位項目をピックアップし、「既に実現している項目」については、それを組織の強みとして、さらに現業の中で活かします。
「改善要望項目」( 「できれば改善が必要」と「ぜひ改善が必要」 )については、グループディスカッションを行い、改善課題設定と改善計画を立て、実行します。
例えば、上記のように「既に実現している項目」の中で、自分たちを既に活性化している職場環境をピックアップし、下記のようなフォーマットにあてはめて事例検討し、できている部分をさらに強化し、組織を活性化させる方法や、逆に、「改善要望項目」について、どのように変化させ、自分たちの業務に負担がかからず、また、支障が発生しないように改善していくかを、KJ法やワークショップ、ワールドカフェなどの手法を使いながら検討していきます。
ここから得られる効果は、QCサークルなどを効果的に運営された方々ならご理解いただけるかと思いますが、まさに自分が所属するチームへの愛着心をはぐくめる可能性があります。
しかし、これも、やらされ感の中で漫然と進めていては、逆効果です。
自然体験が人間の心によいとされているので、精神的に不調な方々を自然の多い場所に出向かせて誰が何を指示する事もなく一日を過ごさせても、まったく効果が出ないのと同じことです。
しっかりとしたファシリテーターがいて、参加者の状況を把握しながら、段階を追って課題に集中させたり、実行させてみたりと、うまくサポートできるメンバーがいる事がポイントです。
そのファシリテーター役としては、実は「シニアメンター制度」にご紹介させていただいているシニアメンターの方々が最適なのです。その理由は、シニアメンターのところにご紹介させていただいておりますので、ご参照ください。
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