ディープ・インパクト と アルマゲドン

 

 

 

どちらも,巨大な隕石が空から落ちてくるというお話。

あわや人類もかつての恐竜同様に風前の灯火かと思われた時,

勇敢な宇宙飛行士達が,

身を持って破壊しに行き,人類は,絶滅せずにすむ。

アルマゲドンは,マイケル・ベイ監督。

ディープ・インパクトはミミ・レダー監督。

製作総指揮にスピルバーグが入っている。

どちらが好きか。

僕は,ディープ・インパクトに一票。

 

理由,その一

隕石を破壊しに行くクルーの描かれ方がいい。

キャプテンとクルー達の親子ほどにも離れた年齢の差に

当初,対立が発生するが,やがて,理解し合うようになる。

事故のせいで目が見えなくなったクルーのために,

年老いたキャプテンが本を読んでやるシーンがいい。

「お前達は,本も読まないのか」と言いながら読んでやる本が,

メルビルの『白鯨』。

僕は,ここに,この映画の深いこだわりを感じるんだけど。

さすが,スピルバーグ。

 

理由,その二

親子の些末な愛憎が描かれているから。

ニュースキャスターの女性と,その父親との,

本当に些末な愛と,それ故の憎しみと,最後に理解しあう姿が描かれている。

これは,実は,どんなに強いヒーローをもってしても太刀打ちできないと思う。

ブルース・ウイルスが,どれほど強い男を演じようと,

海岸で,押し寄せる津波を前に,互いに抱き寄せ合う親子の姿には,霞んでしまう。

歴史がすごいのは,こんな些末な事柄が大量に積み重なっているからだ。

母の涙,父の嘆き,子供の叫びの前に立ち向かえる者が何処にいる?

国は,一人の英雄に依って成り立つのではない。

些末な人々に依って成り立つのだ。

アメリカのバクダット攻撃の時(だったよな)に,

「これで何人の女の生理が狂うことだろう」と詠んだ女流歌人がいる。

これこそが,国家や歴史の根幹を成す実体だと

僕は思う。

 

さてさて,

ディープ・インパクト と アルマゲドンを続けて観比べた時に,

絶対に,ディープ・インパクトの方がいいと思うのは,僕だけだろうか。

 

ちなみに,科学的考察と言う意味では,ディープ・インパクトはお粗末極まりないそうです。(参照ホームページ http://www.city.yokohama.jp/yhspot/ysc/izumo/eiga.html )

また,WAD’S映画メモというサイト(  http://www.ywad.com/movies/index.html )では,どちらもボロクソでした。

 

それと,白状しますけど,つい先程まで,スピルバーグが絡んでたのは,アルマゲドンの方だと信じておりまして,猿も木から落ちるんだと,ずーっと思っておりました。

 

 


2003/08/04