「星野道夫さん」
僕にメールマガジンを出す勇気を与えてくれた『みずすましさん』から,
神戸大丸で開催中の「星野道夫」写真展の事を教えてもらったので,
娘を連れて見に行った。
北極を愛し,北極の自然を写真に取り続け,北の大地で命を落した人。
マイナス40度,厳寒の極北で,最高の瞬間,最高の出会いを待って,
ひたすら耐えた人。
そこから見つけた数々の真理。
それを,余す事無く伝えてくれる。
それは,美しく,感動的で,時にひょうきんだが,
その全てに,星野道夫さんの見つけた真理が写し込まれている。
その言葉の一つ
『ここでは,自然は自分のためだけに息づいている』
筆記用具を忘れたために,それが一言一句正確な言葉ではないけど,
そんな意味合いの言葉。
それが,記憶を蘇らせる。
かつて,
今,人里はなれた何処かの山奥で
確かに大木が倒れつつあり,その悲鳴に似た軋みを
周囲に響かせている
と考えただけで,その凄まじさに身震いがした事を。
それは,僕のオリジナルの発想ではなかったと思う。
が,存在のもつ孤独と気高さを僕に教えてくれた。
星野道夫さんは,極北の厳しい自然に一人で立ち向かう事で,
さらに強烈に伝えてくれる。
今,この瞬間にも,確かに氷河が崩れ,オーロラが輝き,
シロクマが歩き,風が吹き,命が生まれ,命が終わる。
極北の地で。
今,この瞬間にも
星が壊れ,大きなエネルギーが何億キロを瞬時に席巻し,
周辺の惑星に存在する意識を消滅させている事だってありえる。
宇宙の果てで。
それらは,全て,存在それ自体のために生起する事象なのだ。
そして,間違いなく,僕達もそんな存在の一つなのだ。
普段の生活の中では,忘れ去ってしまっている事だが。
『たかだかの』と開き直り,『されど』と向き直る権利を持つ,
一つの現象である。
いや,存在と言う現象の集合体である。
もう一つの言葉
『ハクトウワシには,過去も未来も無い。今のこの瞬間しかない』
だからこそ,光り輝く命。
その真摯な眼差し。
それらが生存するために確かに用意された場所。
人々が,その存在を覚えていようが,忘れ去ってしまおうが,
確かに存在する極北の地。
そこに向き合えた星野さんは,幸せである。
そんな星野さんの命の輝きに触れることのできた僕と娘は,
やはり幸せである。
僕の心の中に星野さんは,たしかに息づきはじめた。
そして,今も,シャッターを押す。
白い息を吐きながら。
ありがとう星野さん,素晴らしい人生,ご苦労様でした。
そして,この展覧会を教えてくれた『みずすましさん』にも感謝。
星野道夫さんのホームページ ↓
http://www.michio-hoshino.com/index.html
『みずすましさん』のホームページ ↓
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/6627/
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