国語のプリント
「たまには,勉強をみてやってよ」と女房に言われて,断るとうるさいので,
小学校六年生の娘に言って,プリントを持って来させる。
国語のプリントで,詩が一遍。それについて,いくつか出題されている。
一番苦手なんだなぁ。「誰が,そんな事考えながら詩を書くんだよぉ」みたいな
出題が結構あって,でも,「プロの詩人は案外,テストなんかに自分の詩が使用される時のために,そこまで考えて書いてるのかもしれない」という不安も手伝って,“何々の文書は,一体何を意味して書かれているのか”と言う問題などは,ほとんど正解した事が無い。
そのプリントに出題されていた詩は,夜の港の光景で,星場に,底引き網で星漁に出かける船団の話。
第一問目「星とは,何を意味しているのでしょう」。
へ? 星は,星じゃないか。星以外に何を意味するのか。
答えは,「魚」。
バカな。
じゃあ,その詩の中程に出てくる「五角形の星で,手はキズだらけだ」というフレーズを構成する五角形の星は,何を意味するのか?具体的に何の魚を意味するんだよぉ。
それには触れずに,このステレオタイプな解釈を押し付けるのかい。
そりゃあ,作者の詩の発想の原点には,底引き網漁の船団の姿があったろう。
でも,船が出て行く夜の海,微かに風が吹いて,一面に細波が立って,それに光が反射して,海が星のきらめく夜空に見えたかもしれない。あるいは,油を浮かべたような,真っ黒な,波一つ無い海をジッと見ていても,空と海の区別がつかなくなる事だってある。
遠くのコンビナートの光が波に拡散して,星に見えたかもしれない。
そんな光景に,作者の発想は,星の底引き網に展開したんだ。
それは,それで,紋切り型な発想だよなとも思うけど,まぁ,いいじゃないか。
せっかく,発想が星漁に展開したのに,それを,また,原点に引き戻すのかい。
これが,「星釣り人」みたいなタイトルのついたアニメーションか,絵本だったら,
出題者は,こんなアホな出題をしていないだろう。釣り糸の先には,しっかりと星が引っ掛っているのに,あの星は,何の比喩ですか?なんて問わんでしょう。ポンチ画じゃあるまいし。
詩だけが,なんでこんな理不尽な差別を受けるんだぁ。
こんな問題を出す奴や,こんな問題に何の疑問も持たずに生徒に教えを垂れる奴は,宮沢賢治の「銀河鉄道」が何を意味するんだとか,芭蕉の「佐渡によこたう あまのかわ」の意味をあたりまえに解釈して,したり顔して説明し,そのスケールの大きさをだいなしにするんだろうな。そして,日本語を糞ほども面白くないものにしてしまうんだ。
先日,動物の気持ちを答えなかったと言う理由で,生徒を三日も四日も立たせた先生なんかもね。
そんな先生達に質問。
狐の嫁入りとは,どういう意味ですか?
では,狐の嫁入り以外の嫁入りを,最低三つ答えなさい。
もう一つ,
今,あなたの足の裏を使って,何百年先まで時代を感じる事ができますか?
おっと,これは,誰かの受け売りでした。
でも,目をつぶって,一回やってみましょう。
今,あなたの足の裏を使って,何百年先まで時代を感じる事ができますか?
2003/08/17