「マカロニ」
ジャック・レモンとウォルター・マッソーとくると,ニール・サイモンときて,
完全にアメリカンコメディーの世界になるのだが,
ジャック・レモンとマルチェロ・マストロヤンニとくると,
ぴたりと,イタリア映画にはまってしまう。
しかも,その掛け合いが,素晴らしい。
知らず知らずに,映画の術中にはめられ,気がつくと感動していた,
てな感じ。
監督は,エットーレ・スコラ。
コメディが得意のイタリア映画監督らしいが,私は,初めて聞く監督です。
「マカロニ」と言うタイトルを聞くと,古い映画フアンは,メキシコでロケした
イタリア産西部劇かと,思われるかもしれない。
フランコ・ネロや,ジュリアーノ・ジェンマ,クリント・イーストウッドなど,
あれは,あれで,素晴らしい映画の世界だが,これは,ちょいと違う。
マルチェロ・マストロヤンニが図書館の整理係みたいな公務員という,地味な役柄。
もちろん,ドンパチは無い。
成功はしたが,人間不信に陥ったジャック・レモン演じるアメリカの実業家が,仕事で,イタリアの街を訪れる。
ここは,かつて,第二次大戦時代に,彼が訪れた街。
マルチェロ・マストロヤンニの妹と愛し合い,だが,帰国命令が出て,アメリカに帰国し,
それっきりになってしまった街。
最初の何回かは手紙を書いたが,それも途切れてしまう。
が,なんと,マルチェロ・マストロヤンニが,彼の身代わりをして,
妹にひたすら手紙を送りつづけていた。
しかも,その内容たるや,ある時はCIA,ある時は新聞記者で,
各地で様々な冒険を繰り広げるスーパーマンに描かれていたのだ。
最初は,腹を立てていたジャック・レモンも,やがて,その世界に引き込まれ,
人間不信であったはずが,心を開くようになる。
そして,ストーリーは急展開し,ラストシーン。
仮死状態に陥ったマルチェロ・マストロヤンニが息吹き返すのを待って,
親族一同,彼の寝室の隣で,マカロニを食す。
これが,実に美味しそうで,この映画を見た後は,
トマトソースにパルメザンチーズをタップリかけたパスタが
食べたくなるのです。
あれは,パスタでも,平べったいフェットチーネという種類のパスタですね,たぶん。
そう言えば,同じくマルチェロ・マストロヤンニ主演の映画で,
トルナトーレ監督の「みんな元気」の中でも,
子供達を集めて,スパゲッティ―を食するシーンがあったなぁ。
あれも,本当に,おいしそうだった。
映画の感動とは別に。
イタリア映画は,これだから止められない。
2003/9/29