梅村光明という詩人

 

 

尊敬と言う意味も込めて,好きな詩人と言うと,

梅村光明さんと言う,神戸の詩人です。

今は,徳島に住んでおられますが,

かつて,神戸市のブルーメール賞を受賞され,

僕の思い出と重なる部分で,活動の舞台として考えると,

やっぱり神戸の詩人かな。

詩人と言っても,有名な詩集など出版されたわけではありません。

 

何故,この方が好きかと言うと,

昔,僕が,演劇やりながらプータロー道を歩んでいた時に

良く一緒に飲んでいたからと言う,そう言う理由からなんですが,

飲まない時は,ほとんど自分からは喋らない寡黙な方です。

酔いが回るに連れて,言葉数が増え,

映画や芝居や小説の話など,実に話題が豊富なんだと,

ビックリさせられます。

 

性格温厚,優しい方で,

どんな風に優しいかというと,

例えば,一緒に飲んでいて,トイレ等に立った時,

ふと振り返って,梅村氏の方を見ると,

ずんぐりのでかい身体を気持ち丸めて,

いかにも,すまなそうにコップを持ち,

ビールを口に運んでいるわけですが,

その姿は,ジャングルから,いきなり都会に連れて来られて,

戸惑い,かつ,身を持て余しているマウンテンゴリラそっくりです。

そんな風な優しさを持った方です。

わかりますか?

 

詩風も,そんな感じで,

タイトルだけ見ても,

「君は時代のバックコーラス」とか,

「目眩く日めくり捲り」とか,

平易で読む側に優しい。

 

ぜひ,読んでいただきたいのですが,

梅村さんの発表された詩を,後生大事に持っている人は

少ないでしょう。

 

僕は,詩集「破流智塹(パルチザン)」と「君は時代のバックコーラス」のコピーを持っているだけですが,

宝物の一つです。

 

そう言えば,北海道建設新聞社に次のような紹介文を見つけました。

 

『一九九五年一月十七日から間もなく、こんな詩が書かれた。梅村光明「激震地」「街がこんなにも静かになるものだとは/街がこんなにも低くなるものだとは/街がこんなにも悲しくなるものだとは/人がこんなにも大切なものだとは」』

 

「激震地」は,たしか,神戸新聞に掲載された詩です。



2003/08/20