「運動会が終わった」

 

 

先日、下の娘の小学校最後の運動会が終わった。

 

上の息子とは,3年違いなので、足掛け9年,小学校の運動会を見に行った事になる。

もう,来年からは,行く意味が無くなる。

 

何と言うか、

とりあえず,一仕事終わったような感じ。

 

9年の間にあった事。

貝塚市から西宮市に引っ越した。

名古屋に単身赴任した。

 

おっと,それくらいか。

 

私にとっては,それくらいしか内容の無い9年間だが、

息子や娘にとっては、成長過程の特に大事な時期を過ごした事だろう。

それが,今後の彼らの人生に,どんな影響を及ぼしてくるか、

それは,それで楽しみな事である。

 

一年生の子供達の踊りを見る。

ああ,あんなかわいらしい時代もあったよなぁと,

じんとくる。

よくぞ,大きな事故も無く育ってくれたと,思う。

 

一期一会という言葉があるが、

日々,一期一会なんですよね。

毎日,彼らは育っている。

昨日の彼らと,明日の彼らは、同じように見えて、実は違う。

 

彼らが生まれたばかりの頃,

寝顔を覗き込んでは、

よくぞ,この頼りない父の元に来てくれたと,

毎日声をかけていたが、

思いは,今も同じだ。

 

息子が,私のつまらぬ冗談に対して、冗談で応えてくれるようになった。

ただ,それだけで,小躍りするほど嬉しくなるのは、私だけではあるまい。

 

娘は、時々,一緒に風呂に入ってくれるが、それも,もう時間の問題。

その日が、いつ来るか。今日で一緒に入るのも最後か。

等と思うと、できるだけ,そのささやかな時間を大事にしたい。

 

私が,彼らに残してやれるものは,その程度のささやかなものでしかないから。

また,私が死ぬ時に抱いていけるのも,その程度のささやかな思い出なのだ。

 

ともあれ,運動会が終わった。

 

息子の通う学校は、運動などは二の次だと思っていて、付け足し行事のようにやっているし,

息子も、性格が私に似てよれ曲がっていて,集団で何かを作り出すことを,

何よりも毛嫌いしていて、そんな風なので、運動会も行っても全然面白くない。

 

娘は、誰に似たのか,足が速く,運動神経も抜群に良く,毎年楽しませてくれたが,

中学校になると,たいてい,どの子も親に見に来ないでくれと言い出すようだ。

運動場の隅っこから,こそっと見るって言うのも嫌なので、そうなったら,行かないだろうな。

 

そんな風に,段々と,子は親離れしていく。

 

子に離れられて,右往左往しないように,心の支柱を形作っておかねばならない。

私のように、まだ何者にも成りきれていない,ふらふらした人間は,余計にだ。

心に思い描く姿に,少しでも近づく努力をもっとしないといけないな。

 

運動会も終わった事だし。

 

 

 
2003/10/31