「野菜を作る事」
何年か前に,市から猫の額よりも狭い畑を借りて,野菜を作った。
女房が,勝手に市に申し込んで来て,手伝ってくれるだけでいいからと言われ,
渋々に始めた畑仕事。
借りた場所は,自宅から歩いて10分くらいの所で,
結構広い敷地を個人から市が借り受け,希望者に年間2000円で小分けに貸し出す。
市に貸した人は,不動産税を負けてもらえるとの事で,
狭い日本じゃあ,やっぱり,持つべきは土地ですよ,ああた,
土地付きで,玉の輿,はたまた,逆玉の輿。それが,ハッピー。
閑話休題。
借り受けた土地は,前に借りてた人がグータラと見えて,草茫々,韮びょうびょう。
とにかく,土を掘り返し,鶏糞を埋め,消石灰を撒くところから始める。
市に申し込んだ女房は,この作業と,出てきた虫で,グロッキー。
ほとんど,畑に近づかなくなった。
のめりこんだのは,渋々のこちら。
苗を植え,水をやり,雑草を抜いていると,情が移ってくる。
特に夏場などは,見る間に大きく育っていく。
やがて,花が咲き,収穫の時。
これが,感動です。
経験者は言わずもがな,買ってきた野菜とまるで違う。
いや,気持ちの問題じゃなくて。
本当に味が違う。
自己主張があるんです。農耕,いや,濃厚なんです。
忘れかけてた本当の味を思い出させてくれる。
キュウリは,キュウリの味をしてるんです。
当たり前だって,言われても仕方ないなぁ。
でも,一度,畑で自作したキュウリを食べると,
スーパーのキュウリがキュウリに思えません。
とっても,かすっぽい味に思える。
ナスもそう。
オクラも,シシトウも。
ところで,オクラって,世界的にオクラだって知ってました?
あれって,アフリカ語なんですってね,と,綾戸智慧さん。
話は戻ります。
キャベツ。
キャベツって,芯のところ,どうしてます?
あの根っこのところ。白くって,固くって,食べられたもんじゃないですよね。
自作だと,あそこが一番美味しいんです。
自作キャベツは,我が家では,あそこが取り合いになりました。
植物の甘さ柔らかさが,もっとも凝縮されたところ。
コマツナ,ホウレンソウ,どれをとっても同じ。
コマツナなんか,虫が食べ残したところをいただくような感じ。
キャベツもね。
でも,それが美味しい。
枝豆も,あの臭いカメムシと格闘しながら育てた奴の茹でたては,最高。
借りてた畑は,二年が限度で,二年立てば,再度申し込んで抽選になるんですが,
もう一度申し込もうよの言葉に,二度といやというご返答だったので,
もう,やってません。
ベランダでもできる野菜もあるので,
本当に美味しい野菜をいまだかつて食べた事が無いと思ってらっしゃる方で,
ぜひ,野菜の味に感動してみたいと思われる方は,チャレンジしてみてください。
時間はかかりますが,後悔は絶対にないです。
保証します。