君の傘が、この雨を突き抜ける時

突き刺さる水滴が

君の衣服も、細胞も、骨すらも溶かしつくし

君をコアセルベートの夢に咲く一輪の幻影にしてしまいそうな

そんなあいにくの空模様です

君は、黄色いヒマワリの傘をさし

両手で持っても重たいスーパーのビニール袋を交互に

持ち替え、持ち替え

ヒマワリの花を揺らし、揺らし、家路につくのでしょう

3メートル先をじっと見つめて、いやな事は考えないように

楽しい事ばかりを考えるようにして

すぐに捻じ曲がりたがる唇からユーミンの歌でもこぼしながら


本当に耐えられない事が多いよね

湿度計は跳ね上がっているのに、君の心は乾くばかり

誰に言っても、何をしても、潤せない君の心

渇きが、昨日の深酒の残滓のようにこびりつく


でも、見ててごらん

君の思いが傘の下で渦巻き始める

やがてエネルギーの塊となり

ヒマワリと同化して

光り輝き出すだろう

この雨を突き抜けるために

太古の夢に引きずり込むこの雨を振り払い

心は、はるか高い所

雲の上まで飛んでゆく

君の唇からは微笑みがこぼれ

本当は綺麗なはずの素顔に赤みがさす筈だ

きっとそうなる

君が信じてさえいれば

大事な物さえ忘れなければ

 

ほら、雨も上がりそうだね

 

 

 

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