墓碑銘

ポケットの小銭で、俺は最後のパンを買う。

旅も、ここで終わりを告げそうだ

暑い砂漠を指向して、所詮、金の尽きる所か

俺の名を墓石に刻んでくれ

ここを突っ切れなかったものの

どうしようもない叫びとともに

世紀末のばか者として、

心におぼれ、

言葉におぼれ、

自分自身におぼれ

おぼれ切れずに溺死した者として

ただの岩石にでも

俺の名をきざんでくれ

 

愛した女が、花を添えるだろう

憎んだ女が、唾吐き掛けるだろう

 

刺激を望み、落ちぶれた者として

何も為し得なかった者として

明日を悲しみもせず、

最後の最後まで

滞り、朽ち果てた者として

岩石の裂け目に

俺の墓碑銘は残るのだ。