「お日様が低くなると」

 



 

お日様が低くなるとね

輝き出すの

今まで輝かなかったいろんな物が

 

わかる?

 

ほら,ここ,

よそよりちょっと高いでしょ

だから

よくわかるの

 

夏の間は

輝かなかったもの

 

煙突の上の

鉄色の何かとか,

向こうの山のパラボラアンテナみたいなものとか

川のちょっとしたせせらぎの所とか

その向こうの丘の上の家の

屋根に引っかかっている

色のついた銀テープだとか,

 

あら,あんなところでも何か輝いているって

あたしが驚くでしょ

そしたら,

何で今頃驚くの?

あたしたち,前から

ずっとここにいたわよ

って,抗議してるみたいなのよ,みんな

そんなふうに輝いてるの

 

ほらほら,あのチラチラしてるの

何かしら

あれ,

小さなものよ,たぶん

すごく小さなもの

それが,こんなにはっきりと,

チラチラ

チラチラ

あの製材所の電動ノコの音の向こうね

畑で何か焼かれてて

その薄い煙の向こうから

お星様みたいに

光を送ってくる

 

そうね,

あの光の一つ一つには,

それぞれに

私たちの知らない世界があって,

それぞれなりの形で輝いているのかも知れないわね

 

ね,

もう帰りましょう

ここは,寒いわ

風邪を引きそう

あなたが,すぐに

服を脱がせてしまうからよ

 

 

do_pi_can   ド・ピーカン  どぴーかん  さて、これから  詩  小説  エッセイ  メールマガジン

do_pi_can   ド・ピーカン  どぴーかん  さて、これから  詩  小説  エッセイ  メールマガジン