「積み上げられる」

 

 

 

積み重ねられるものなんだよ

我々は

と,

棚に置かれた網籠の呟きが

聞こえる

 

そのことに

何かを見出すつもりは

無いと,

 

店先にあって,

彼らは

無駄ではないが,

添え物にもならぬ

 

地味に並んで

何を主張するでもない

 

いきなりの雨降りでも,

片付けられるのは

いつも最後だ

 

濡れそぼっている

 

そして,あきらめている

 

無個性な背広を着て

最終電車の中で酔っ払って

肩抱き合う者達に

良く似ている

 

そうやって

棚の最上段の華やかさに

自己を投影するのだ

 

いつくるともわからぬ

その瞬間に

 

その瞬間をひたすら夢見て

積み上げられる網籠

 

その中に

傘の少女が一人

飴を放り込むのだが

 

網籠には

何の慰めにもならない

 

傘の色以上に

食品添加物の

多そうな

飴だ

 

 

do_pi_can   ド・ピーカン  どぴーかん  さて、これから  詩  小説  エッセイ  メールマガジン

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