新人研修第二日目                



1       ストレッチ

ストレッチには、様々なプラス面が考えられます。

どんなプラス面があるか、まずは真剣にやってみて、そのプラス面を体験して見ましょう。

 

自分をコントロールしないと命を守れない軍隊と言う場所では、「行進」というトレーニングが必ず取り入れられていますが、何故でしょうか?

皆さんも、小学校などではたまに行進練習をしておられたと思いますが、何故でしょうか?

 

2       清掃

清掃にもプラス面があります。

まずは清掃してみましょう。

さて、どんなプラス面が体験できたでしょうか。

 

飛行機の整備工場は、毎日清掃が徹底していないと空の安全は守れないと言います、何故でしょうか?

イエローハットの創業者、鍵山元会長は、「掃除を徹底する」事でイエローハットを大きくしました、何故でしょうか?

 

3       昨日の研修の振り返り

手元のノートに、

(1)昨日の研修で得られたこと

(2)それを今後具体的にどのように活かすのか

について書き出しましょう。

次に、六人一組のグループで話し合ってください。

どんな事が話し合われたかを、後でどなたかに発表していただきます。

発表者はこちらで指定させていただきます。

 

4       言葉の影響について考えましょう

まず考えてみましょう、

(1)あなたにとって言葉は何故必要ですか?

(2)あなたは、どのように言葉を使いたいと思いますか?

(3)今後、あなたの言葉はどのように変化すると思いますか?

以上を手元のノートに書き出しましょう。

六人一組のグループで話し合ってください。

どんな事が話し合われたかを、後でどなたかに発表していただきます。

発表者はこちらで指定させていただきます。

 

5       言葉は、人を巻き込み、人を動かすためにある

言葉は、勿論、情報共有のためにあるのですが、その真の目的は

人を巻き込み

人を動かす

事にあります。

 

赤ん坊は、泣き声などで自分の欲求を伝えます。

つまり、母親を巻き込み、母親を動かしているのです。

それによって、自分の空腹や、もらしたおしっこの気色悪さから逃れます。

母親は、我が子の世話をする事で母性が満たされます。

ここに、言葉による相互信頼関係が生まれます。

 

言葉は、人を巻き込むためにあると言いましたが、当然、巻き込んだ側だけが満足していたのでは相互信頼関係は生まれません。

双方が満足しなければならないのです。

これは、人が集団でしか生きられない弱い猿の一種族だからです。

互いに巻き込み合い、動かし合う事によって人という種族を守ってきたのです。

皆さんが、今ここにあるのは、その何十万年の積み重ねの結果です。

 

ここで質問です。

皆さんは、皆さんと皆さんの仲の良い友人と私と3人でいるとします。私が友人の方に一万円差し上げます。条件があります。友人の方は、皆さんに幾らか分け前を渡さねばなりません。皆さんは、分け前の額が気に入らない場合、友人が差し出したお金を受け取らなくてもいいのです。しかし、その時は、友人に渡したお金も返していただく事になります。つまり、友人も皆さんもお金はもらえない事になります。皆さんが幾らかでも受け取ると、それは皆さんのものとなり、友人も残りの金額をもらえます。

さて、皆さんは、幾ら以上なら友人から受け取り、幾ら以下ならお金の受け取りを断りますか?

 

もう一つ質問です。

皆さんは、ただ一人個室の中にいるとします。目の前には小銭ばかりで一万円あります。全部持っていっていただいていいのです。でも、もし、いくらかでも残していただけるならば、それを後から来る他の方に差し上げることとします。さて、皆さんは、いくら持って行き、後から来る方のためにいくら残していきますか?

 

もう一つ質問しましょう。

皆さんは少し踏ん張らないと持てないくらいの重さを箱を持って道路上で待ち受けています。そこにまずAさんが通りかかりました。皆さんは、腰を痛めたので箱が運べない、かわりに道路の向こう側まででよいので運んで欲しいと頼みます。Aさんが運び終わると、皆さんはAさんに謝礼として千円渡します。

同じようにしてまた待ち受けます。そこにBさんが通りかかります。BさんにもAさんにお願いしたのと同じ事をお願いします。ただし、Bさんには謝礼としてお金は渡さず、「本当に助かりました。ありがとうございました」と、心からお礼を言います。

さて、話はここからです。あなたがAさんやBさんにお願いした場所から少し先に行くと、あなたの仲間が、あなたと全く同じお願いをするために待ち構えています。

道路のこっちから向こうに重い荷物を運んでもらうのです。

そして、AさんとBさんにあなたと同じお願いします。

さて、二度目のお願いにも、断らずに手を貸してあげる確率が高いのは、お金をもらったAさんでしょうか、言葉だけで感謝されたBさんのほうでしょうか?

 

以上の質問の中に、人を巻き込み、人を動かすにあたってのポイントが隠されています。

最初の質問では、我々は、自分が納得できなければ、つまり、双方に満足するという状態でなければ、自分が損をしてでも納得できないと言う意思表示をする事が多いようだと言う事が見て取れます。

二番目の質問では、我々は、自分以外の人の事を考え、その他人のために何かをしてあげたいと思い、そのように行動することが多いようだという事が伺えます。

三番目の質問では、我々はお金と言う報酬ではなく、心の底からの言葉に満足し、次もまた同じ満足を得るために行動する事が多いようだと言うことが見て取れます。

 

その事が、現実の世界で本当に起こっているのかどうか確認してみましょう。

皆さんはWikipediaをご存知ですね?では、マイクロソフト社が数億ドルの開発費を投じて作ったエンサイクロペディアという3万円くらいのソフトウェアは?

Wikipediaとエンサイクロペディアの違いは何だったのでしょうか?

 

Google社の快進撃の秘訣は何だと思いますか?

皆さんが使っているスマホやアイホンがネットでつながっている先のクラウドサーバーの中には、たくさんの無料ソフトが活用されている事をご存知ですか?それらは、多くの人の無償の行為により作り上げられたものです。

 

つまり、人を巻き込み、人をやる気にさせるのは、お金では無く、他人への気遣いや思いやり、相互信頼関係への意識の方が効果的なようだと言うことです。

 

また、その思いやりや相互信頼関係の意識は、我々の心身の健康にも大きく影響を与えている可能性が高いことが報告されています。

1984年の「アメリカ心臓病学ジャーナル」には、「貧富の差に関係なく、他者への慈善活動に参加している人の死亡率は、そうした活動をしていない人々より60%も低い。」(Am J Cardiol,vol.119,p410-423)と報告されていますし、

1988年の「サイエンス誌」には「ボランティア活動により他者への絆の中で喜びを感じ、社会的集団に積極的に関わる事は、血圧やコレステロール値のコントロールだけでなく感情脳や身体にとっても効果的な治療法である」(Science ,vol.241,p540-545)と報告されています。

 

文明が発達し、人間関係が希薄になったのは、産業革命以降わずか百数十年の事です。皆さんの身体の中には、互いを守り合う事によって何十万年と厳しい環境を生き抜いてきた猿の記憶が、しっかりと刻みつけられていると言うことなのでしょう。

 

6       伝える力

言葉を使って何かを行う時、「伝える」と「聞き取る」あるいは「聞き出す」という行為が必要となります。

まず、「伝える」スキルを確認しましょう。

 

皆さんは、人に何かを伝える時、どういう事に注意しますか?

 

まず、パズルを使って、伝える力を身につけましょう。

 

ポイントは、

(1)最初に意図や目的を明らかにする。

(2)相手が理解できる言葉(単語)を確認し、その言葉(単語)で伝える。

(3)相手が理解しやすいステップに分割し、各ステップを順番に伝えていく。

(4)相手が理解してくれるまで何度でも前のステップに戻る。

(5)相手が理解してくれた事を確認し、理解してくれた事を感謝する。

 

7       聞き出す力

次に「聞き取る」あるいは「聞き出す」力です。

仕事の現場では「聞き出す」力はとても大事です。我々は、必ず「思い込み」をします。相手と自分との「思い込み」の違いによる仕事の上での大失敗はよくある話です。しかし、避けられるものなら避けたいですね。

「思い込み」を避けるには、しっかりと「聞き取り」、さらに双方の理解が一致するまで「聞き出す」しかないのです。

 

「聞き出す」方法には

「はい・いいえ」でしか答えられない「クローズドクエスチョン」、

「はい・いいえ」以外で答えないといけない「オープンクエスチョン」があります。

 

「クローズドクエスチョン」は「それは赤色ですか?」とか「今日は元気ですか?」など、「オープンクエスチョン」は「今日、何食べようか?」とか「どこから来たの?」などです。

 

相手がなかなかしゃべってくれない時は、まず相手がしゃべりやすい内容の「クローズドクエスチョン」を繰り返し、相手との垣根を取り払った上で「オープンクエスチョン」でさらに詳しく聞きだすのが良いとされています。

 

では、カードを使って「聞き出す」練習をしましょう。

 

==== 昼 食 ====

 

 

8       チームを作る

我々は、集団で互いに守り合う動物だと申し上げましたが、会社や組織を作るのは、そのためですね。

集団で互いに役割を担いつつ行動すると、一人ではできない事ができてしまうと、随分古くから我々は学んでいます。エジプトのピラミッドなどは、その際たるものでしょう。

 

皆さんの会社には、社長さん、専務さん、部長さん、課長さんなどがおられ、それぞれに役割と責任を担いつつ仕事をされています。

それは、最初からその役割だったわけではなく、仕事を覚え習熟していく中で、その人ならどのような責任を負えるかを周りの人達が認め指名された結果、その役割を担っているのです。

役職は、上とか下とか、偉いとか偉くないとかではなく、それぞれが果たす責任を表した看板なのですね。

 

ここで大事なのは、できれば、それぞれがぞれぞれの役割の中身と負うべき責任をしっかりと把握しあっておくという事です。

自分は新人だから社長や部長の仕事の中身や責任は知らないというのではなく、できれば、一度くらい社長席や部長席に座らせてもらい、そこから何が見えるか、どんな責任が感じられるかを実感しておく事も大事でしょう。

仕事を覚え、仕事の中身がわかって、会社の事もわかってくると、さらに感じ方が違ってきます。

 

さて、今、互いの役割も何も無いところで、ある作業をしていただきましょう。

その結果を後で教えてください。

 

「矛盾の多い情報から街の地図をつくる」

 

9       チームを作る振り返り

では、先ほどのゲームの振り返りをしましょう。

全く何の役割も決めずにいきなりゲームを始めましたが、さて、皆さんはゲームの中でどのような役割を果たしたと思いますか?

(1)場をコントロールする役

(2)意見を引きだす役

(3)意見をいう人を励ます役

(4)他の人の意見をさらに補足し発展させる役

(5)他の人の意見を批判的に分析する役

(6)多くの意見をわかりやすくまとめる役

(7)目で励ましながら他の人の話しやすい雰囲気を作る役

さて、自分はどの役割を担っていたでしょうか?

六人一組のグループで話し合ってください。

どんな事が話し合われたかを、後でどなたかに発表していただきます。

発表者はこちらで指定させていただきます。

 

10    役割を決めて動く

では、今度は、あらかじめ役割を決めて、皆で作業していただきます。

六人一組のグループが一つの会社です。

皆さんは、会社の中で次の役割を決めてください。

(1)全体の方向性について皆の意見を聞きながら決断をくだす人(代表)

(2)起こった出来事を総合的に数字にして他のメンバーにわかりやすく報告する人(経理部)

(3)市場をまわって注文をとり、会社の儲けを作る人(営業部)

(4)営業のとってきた注文に応じてモノを作る人(製造部)

(5)モノづくりの為に原材料を購入する人(資材部)

(6)全体の動きを見ながら人の能力に応じた仕事を割り振る人(人事部)

 

皆さんの会社は便宜上一年単位で動きます。前の年度が創業1期目としましょう。

まず、製品在庫数、前年度の預金残高をそれぞれのチームにお伝えします。

まず、代表と人事部を決めてください。次に人事部の人が経理部、営業部、製造部、資材部を指名してください。

 

営業部は次年度の1台あたりの販売金額、販売台数を予測してください。

製造部は現在の在庫台数と営業部の予測数値、欠品リスク(もっと売れるのに商品が無くて売れないリスク)などを加味して、次年度の製造個数を設定してください。

資材部は製造部の設定した個数にあうように材料を仕入れ額を決定しますが、あまり安く仕入れすぎるとまともな製品が作れず不良品増加のリスクを負います。

経理部は預金残高がゼロにならないように資材部の仕入れ価格をもっと安くさせたり、皆の給料を上げたり下げたりしてください。給料が低いとモチベーションが下って不良品率が増加する可能性もあります。

代表者は、全体の意見を聞きながら次年度の全ての数字を調整したり、決定を下し

たりしてください。

 

さぁ、新しい年度、第2期目が始まります。

第2期目の皆さんの会社の動きは、この通りです。

皆さん、経理部を手助けしてあげてください。

いかがですか?儲かりましたか?

では人事部は第3期目の人員配置を決めてください。

営業部、製造部、資材部、人事部は、第3期目のそれぞれ自分の目標数字を決めてください。

 

以上のようにして、第10期まで繰り返します。頑張ってください。

 

11    役割を決めて動くゲームの振り返り

いかがでしたか?皆さんの会社は儲かりましたか?

皆さん自身は良い動きができましたか?

実際の会社はこんなに単純ではないですが、少しは会社の事が理解できたのではないでしょうか。

ゲームを通して何を考えたか、どのように思ったかを振り返ってみてください。

どんな事が話し合われたかを、後でどなたかに発表していただきます。

発表者はこちらで指定させていただきます。

 

12    ワールドカフェ形式ディスカッション

想像してみてください。

「10年後に、あなたはどのようなやり方で、日本を元気にしているでしょうか?」

 

13    KJ法形式ディスカッション

「10年後、日本が元気なのは、あなたが篠山市に対してどのような貢献をしているからだと思いますか?」

ポストイットにその理由を最低5枚は書き出してください。

 

14    本日の研修をまとめましょう

さて、本日の研修の最後に、本日の研修で学べた事をまとめて報告書にしてください。時間はたっぷりとっています。ゆっくりと考えて書き出してください。

 

 

==== 夕 食 ====

 

 

15    番外編:KJ法ディスカッション結果ポスター発表会

 

 

 

                

 

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