「ハラスメントの防止にむけて」 資料
(1)ハラスメント発生の状況
個別労働紛争相談の内 いじめ・嫌がらせに関する相談件数
平成23年度 45,939件
平成24年度 51,670件
平成25年度 59,197件
平成26年度 62,191件
相談件数全体は減少傾向にあるものの、ハラスメント相談件数は増加傾向にある。
(2)ハラスメント事例
大津市で、市民部の課長級の男性職員(53)が、2014年5月から2015年3月にかけてほぼ毎日、約20人いる部下それぞれに対し、自らの机の前などに立たせたりして30分〜2時間近く、仕事の進め方や書類の不備などを大声で指導、叱るなどを繰り返した。減給10分の1(3カ月)の懲戒処分。
ステーキチェーン「ステーキのくいしんぼ」の店長だった男性の自殺の原因が、過酷な長時間労働とパワーハラスメントにあるとして約5790万円の賠償。パワハラをしていたのは同店など複数の店舗を指導する「エリアマネージャー」の男性。「ばかだな」「使えねえな」と叱責を続けた。また、尻や頭、頬などを殴ったり、厨房にあったしゃもじで頭を殴った。
静岡県警は2015年11月23日、鍋の中で熱くなった豆腐を部下の顔につけるなどのパワーハラスメントを繰り返したとして、40代の警部補を停職1カ月、30代の巡査部長を減給10分の1(6カ月)とするなど計5人を懲戒処分。
宮崎県串間市の50代男性職員が、10代の女性臨時職員(当時)に「おまえを抱きたい。これからどこかに行こうか。みんなには内緒だから大丈夫」と言って、勤務先の上下関係を背景に人格権を侵害する不法行為(セクハラ)をしたとして、宮崎地裁日南支部が慰謝料50万円の支払いを命じる
「アデランス」(東京)の店長だった男性従業員から繰り返しセクハラを受けて心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、同社が女性に解決金1300万円を支払う。
(3)ハラスメントの定義
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。
※「職場内の優位性」とは
上司と部下の関係といった「職務上の地位」だけではなく、先輩・後輩間や同僚間、あるいは部下から上司に対して行われる場合もあり、職場内の人間関係や専門知識など様々な「優位性」も含みます。
(4)パワーハラスメント行為類型
@
身体的な攻撃
殴る、蹴る など
A
精神的な攻撃
権限を背景に脅す、過度に雇用の不安をあおる など
B
人間関係からの切り離し
隔離する、村八分にする など
C
過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害 など
D
過小な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
E
個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること
(5)パワーハラスメントが発生しやすい職場の状況
平成24年12月 厚生労働省発表「パワーハラスメント実態調査」より
パワハラ発生が報告されている企業では、
@
既に上司と部下のコミュニケーションがとれていない
A
残業が多く、ミスが許されない → 高いストレス度
(6)ハラスメントによる影響 個人への影響
@
高ストレス状態を作り出す
高ストレス状態の影響
判断能力が低下する
仕事のミスが多発する
物忘れが激しくなる
人間関係が悪くなる
労働意欲が低下する など
A
身体や行動に影響が出始める
激しい肩こり・偏頭痛
下痢・便秘
過食・拒食
不眠・過眠
激しい疲労感
過剰な依存(酒、煙草、ギャンブル)
不必要な思い込み(自分は駄目な人間だ) など
B
無力感いっぱいにしてしまう
C
うつ状態に落とし込む
D
自ら命を断たせる
(7)ハラスメントによる影響 組織への影響
@
組織内を高ストレス状態にしてしまいます
A
組織内メンバーの自発性を奪います
B
他のメンバーの組織への信頼感を奪います
C
組織が崩壊します
(8)ハラスメントする人の発生要因
@
ハラスメントする人は確信犯である場合が大半です
A
ハラスメントする人は、自分が過去に受けた行為を押し付けている可能性があります
B
ハラスメントする人は、激しい思い込みを持った人である可能性もあります
C
ハラスメントする人は、支配―隷属関係で人間関係を考えてしまう傾向もあるようです
D ハラスメントする人も高いストレス状態にある可能性があります
(9)あなた自身がハラスメントする人にならないために
@
ストレスを適度に発散させましょう
A
自分自身の思い込みに気がつき、避けましょう
B
「私は」言葉を身につけましょう
C
「褒める」場所を見つける努力と機会を増やす努力をしましょう
D
フォローを忘れないようにしましょう。叱りっぱなしは避ける。
E
一日に数分の深呼吸、または、一日に30分以上歩く
(10)上司、同僚や部下がハラスメントする側になった時の対応
@
対処するのは、相手が気心知れている場合のみ。
A
冷静に状況を説明する。決して非難したり、否定したりしないでください。
B
どうしたいのかをじっくりと聴きだす。素直に相手の「こうありたい」の全体像を描き出す。
C
じっくり向き合う。一気に変えよう、すぐによい方向に変化するなどとは思わない。
D
目に余る場合は、コンプライアンス担当者に通知する。
(11)同僚や部下がハラスメントされる側になった時の対応
@
自分の意見を交えず、話を聴く。
A
ハラスメントする側、される側を非難したり、否定したりしない。肯定もしない。
B
自分の力で何とかできる、あるいは何とかしよう等とは思わない。
C
まずは共感する
D
コンプライアンス担当者、状況によっては産業医、カウンセラーなどの専門家にリファーする
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