街路樹が
沈む大気を染める頃
あなたの胸元に
灯る小さな光がある
いつかの
田舎道に
ポツンと
一つだけ残されていた
柿の実のように
逢魔ヶ刻の前の
静けき景色の中に
浮かび上がる
季節のランタン
そのような光です
街路樹は
大気を染めると
ハラリ
その葉を大地に返す
落とされた葉は
踏みしめる
私の
靴底と出会う
懐かしさを
伴った
心地よい
悲鳴が
地面から
這い上がる
ふと見上げた
山の中腹の
お寺の境内に
明りが灯り
そこから
さらに
拡がり始める
夕暮れの生活の匂い
を，起点に
あなたの心を
辿り，辿って
透明な空に
思い出の
鈴を鳴らす
そんな時
あなたには
公園へと通じる
階段の上に
立っていて欲しい
そこで
手を振っていて
欲しい
そして
私を
受け入れて
欲しい
胸元の光に
手を添えて
