カーニバルって奴が街を取り巻いているのを感じることができるかい

街は

命の終わる寸前の輝きの色に

仕上がっていた

 

現実などという

面白みの無い

傀儡使いの用意した舞台の上で

大道芸に講じている間に

日は傾き

雲が染められ

灯りがともり

 

瞬間の

停止状態

の後

 

一斉にヘッドライトがともり,

喧騒が再び呼び戻されたらしい

そして

音と光の身勝手な交差の中に

浮かび上がる街の姿

 

我関せずと歩き出し

山のねぐらに帰ろうとするのだが

後ろ髪惹かれる思いは何だ

 

ガラス食器が触れ合い,空気を雲母に変える音

ハイヒールの靴底の地面を刻む音

薄暗い店の中で煙が揺らめく音

天井で弾んでいるだけのスピーカーの音

 

女が

いつもより

少し

きれいに

見える

 

命の終わる寸前の色が

取り巻くにしては

なんだ

この軽やかさは

 

私は

ますます

俯いてゆく

 

私は

ますます

捩れてゆく

 

なに

知っているのさ

この思い

断ち切ることの

簡単さ

 

だから

しばらく

こうして

楽しんでいるだけなのだ

 

街が

命の最後の色の中で

浮かれれば

浮かれるほど

私は

違う楽しみを

見い出していく

 

つまり,

これが,

カーニバルってやつ

 

その醍醐味

 

一人で楽しむ事の

 

 

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