「だから,どうだって言うのさ」


あー,だから,どうだって言うのさ
別に,いいじゃない,さぁ
そんなこと,どっちでも
何気にしてんのよぉ


行き先を,適当にでっち上げて,
出てきた先は,事務所の近くのいつもの隠れ家で
聞いた声がすると思ったら
ジャニス・ジョップリンだ。


やっちゃいなよぉ
みんな,そうなんだからさぁ
何か,問題でもあるのぉ
ありゃしないよぉ


君の時代とは違うよ
君の時代なら,今,目の前にあるのは
黒ゴマパンじゃないだろ
きつい酒の一杯だよ
犬の鎖みたいに,携帯ストラップを
ポケットから垂してなんかないだろ


バカ言わないでよ
何が変わったって言うのよ
魂はいつも熱いもんよ
ほら,触ってごらんよ
ここだよ,ここ


そこには,君の乳房があるだけさ
その下で,ドクドク言ってるのは,心臓だね
それも,止まっちゃぁ,お終いだ
そうして,時が流れたんだ
君が,どこで眠っていたのかは,知らないけどね


ああーっ,もう,いらつくわねぇ
裸にしてよ,裸にしてよ,
あたしを,今すぐ裸にしてよ
そうしたら,わかるんだから
野暮なあんたにだって,はっきりと分かるはずなんだ


そんな事は,できないよ
警察がやってくるだろ
警察だよ,
ポリ公,公僕,サツ,
知ってるだろう
わいせつ罪に,麻薬不法所持だよ,
君の場合


誰かが開けたドアから
ジャニスは出て行こうとする
だが,出て行けないのだ。
君は,いや,君でさえも
もはや,思いどうりに生きてけるわけじゃない


ありったけの罵声を吐き散らすわ
ありったけの罵声を吐き散らすわ
ありったけの罵声を吐き散らすわ


分かったよ
もう,いいよ,
知っているよ,
君なら裸にだってなるし,
そのまま,御堂筋を逆走だってするだろう
吃驚した自動車同士が衝突して,
道路は大混乱に陥るだろう
報道関係とポリス関係のヘリコプターが
君の頭上でグルグル回ることだろう
君は,そのスポットを浴びて,
なに悪びれることなく,
手を広げ,しわがれ声で笑う,笑う,笑う
裸で,裸で,裸で
ピョンピョン飛び跳ねながら,回る,回る,回る
知ってるよ


あったけの罵声よ,罵声よ,罵声よ


やがて降り出した雨の中で
君は,溶ける,溶ける
顔も,乳房も,陰毛も,溶ける


そうして,次の自由を求めて,消えていくんだな
そうして,私の有頂天だけが,動き始めた時間に引きちぎられる


君の最後の叫び
愛して,愛して,愛して


私も叫んでいる
おいていかないでくれぇ!!



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