「紅蓮」


そは紅蓮
そは冷たき炎なり

故に
触れる者焼き尽くされん

そは熱情
そは瞳の奥に潜り込み

幾許かの涙と共に
人々の心を震わさん

野に分け入り
川を渡り

怒りの地平を
横切り

懊悩の原を
ようよう通過したあたり

人々の歓喜の声を吸い尽くす
その姿あり

そは紅蓮
そは熱情

そは存在し
そは主張する

そは
冷たき焔

そは
熱き冷静

待っていた
何年も

ただひたすら
夢さえも見ずに

待つ事だけが
唯一許されし事だった

その熱情は
待つ事だけにさかれた

そは紅蓮
その熱情

そは炎
その冷静

そは、そこに
密やかに、在り

待ちつつ
在り


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