「桜吹雪く時」


萎えし体を
木に縛りつけ

最期の酒を
ささ、ここに汲み置きて

うつつの事の
よしなし事の

想いの数々を
さても、この花見やりながら

ええい、や
心に映してよ、のう

最期の景色をば
しかと、しかと、留め置きて

愛し女の眠る里向け
旅立とうぞ、のう

降る、降れる
花弁の
可憐の
のう、ほれ

いつぞや
ぬしと見た吹雪のようじゃ、のう

ほれ、体に若さが蘇る
髪の色も濃くなりて
こりゃ、歩けるぞ

ほれ、歩けるぞ、のう
このまま、ぬしと二人
歩いて行こうぞ、のう

この酒を持て、
この酒を


桜吹雪けるその下で
じじの骸
一つ
風に吹かれたり
do_pi_can   ド・ピーカン  どぴーかん  さて、これから  詩  小説  エッセイ  メールマガジン