「季節が変わると風が吹く」

 

 

季節の胎動に

風が応える

思考が飛ばされる

 

夕焼けを微かに残しながら

雨が激しく落ちてくる

 

夜に混じり始めた虫の音が

午後の風を鋭利にし,

光が斜めに切り裂かれ,

風景と共に短くなると,

人は人を恋うるものらしい

 

静かな溜め息と共に

あなたと時を共有したい想いを

吐き出してゆく

 

山のふもとを走る列車が

一本の光の連なりを模倣する時,

車窓を流れるのは,

そんな想いの羅列であるか

 

長い真っ直ぐな濡れた道と

列車が直角に交わる,その刹那

僕は,

その道のはてに吸い込まれたまま浮遊する

一つの魂になる

溜め息と共に吐き出された魂だ

 

そのまま

夕暮れ時の

いきなりの雨の中にいて,

傘をさす事もせず,

時折の風に身を任せる

 

季節が変わると

風が吹く

そんな風の中で

 

 

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