「パンが焼けた」

 

 

パンが焼けた

 

ホウッ

 

ホウッ

 

こんがり

きつね色

 

ホウッ

 

いい香りだな

 

ホウッ

 

昨日

子供達が

山で取ってきた

木の実を入れた

 

もう,

そんな季節だ

 

感謝して

食べよう

 

森の精

水の精

空の精

カマドの精

村のはずれのナナカマドの精

森で行き倒れたしゃれこうべ

飼い犬にも

喜びを分け与え

 

今日も

元気に仕事できるように

心から味わおう

 

 

ホウッ

 

 

仕事が終われば

祭りだ

 

久しぶりに

お酒の飲める

祭りだ

 

家々の

甕を

長の所に持ち込んで

喜びを

分け合う

 

 

一晩中

飲み明かす

そして,

休む

 

だから

もう少し,

このパンを

食べ

力を蓄えて

仕事する

 

 

ホウッ

 

 

昨日までは

男手のない斜向かいの

家の畑

 

 

今日から

我が家の畑

 

 

その次は

作業の遅い家の畑

 

 

助け合って

 

ホウッ

 

 

仕事が終われば

祭りだ

 

 

 

ホウッ

 

ホウッ

 

 

もうすぐ冬が来る

 

 

冬が来ると

収穫の無かった村が攻めて来る

今年も来ると,占いのオバァ

 

 

去年は,

池の向こうから来た

今年は

森の向こうからと,占いのオバァ

 

 

食料と女と子供を

守るために

焼けたパンを

たらふく食べる

 

 

 

ホウッ

ホウッ

ホウッ

 

 

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